ZIGGY
HEAVEN AND HELL
自分のアンテナに引っ掛かってくるものに忠実でいたいし、
今、自分自身がワクワクできるものに触発されながら
何かを作りたいし
森重樹一/「UV」2002年 Vol.81インタビューより
ZIGGY名義の復活第1弾。当初は2枚組の予定で作業を進めていたようだが、スケジュール的に無理が生じたため、夏にリズム重視なアルバム、冬にメロウなアルバム…というアルバムのカラーを明確にした2枚リリースという形に落ち着いた。
アルバムは、昨今のパンクブームに色目を使ったわけではないだろうが、ZIGGYの歴史からすると、比較的パンキッシュな風情が感じられる作品が多く収められている。(とは言え、「まんまパンク」と呼べるものは少ないが…)「速さの限界に挑戦」と公言していただけのことはあるスピード重視のパンキッシュな[2]が、その代表的作品として挙げられるだろう。
前作に収められた「STORNG WILL」同様、前向きな強気の森重の姿勢が感じられる作品[1]からアルバムはスタ−ト。前述の[2]を挟み、人気の高い[3]…と勢いの良い曲が並ぶ。[3]は当初、別のミュージシャンに提供する予定がボツになったためZIGGYの楽曲として日の目を見た。普段のZIGGYの作風に近い曲だ。
他にもギョッとするような意外な宗仁のギターが効果的なダークな作品[6](死去したアリス・イン・チェインジスのボーカリスト・レイン・ステイリーに捧げる意味もあるようで「CRAWL」以来のダークな作風が堪能できる)いつも通りコーラスアレンジに多大な貢献している津谷正人がソングライターとして初めて名を連ねた[9]なども質の高い作品も多い。アルバムで唯一メロウな雰囲気のある[10]は、当初森重のソロ用に用意されていたナンバー。
結局の所、ZIGGYの売りの一つでもあるバラードが収録されていないことなどから、ファンの間では賛否両論あった作品となったが、私はそういった方向性よりも楽曲の質自体にSNAKE HIP SHAKES時代の3枚よりも輝きが足りないと思えるのだ。このチャレンジが成功だったか失敗だったかは、意見の分かれるところだろう。この作品の真の評価は、何年か後に下されるのかもしれない。
※この記事は過去に運営されていたファンサイトの記事を元に再構成させていただきました。