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死霊光線 -EVIL BEAM-
細かいところではない、大きなウネリみたいなのを意識するようにはなった。
重箱のスミを突っつくようなマネはしないでおこうと
DUCK-T 「ロッキンf」 99年インタビューより
ニルヴァーナ、ペイジ&プラントなどのプロデューサーとして知られるスティーヴ.アルビニとのシカゴレコーディングによるマキシシングル「I’LL GO ROUND」が発売されたのは98年9月。それから半年以上経過して、ようやく登場したメジャーでのセカンドアルバム。
アルビニとの共同作業で、メンバーが影響を受けた点は「大きなウネリを意識するようになった」という事。細かい事を気にせずに作業を進めたせいか、15曲を10日でレコーディングするスピード作業でアルバムは完成。「I’LL GO ROUND」のマキシがハードなサウンドに焦点を絞った作品集だった事もあって、私などは、このままハード路線で突っ走るのかと思っていたが、今回も見事なまでにDUCK-Tの音楽に関する雑食性が出た作品集だ。
[4]などはSLUTの雑食性が顕著に出た作品で、アコギによるバッキング、POPなサビとノイジーな間奏部分、DAVID BOWIEの「SPACE ODDITY」に似たサビメロを逆手にとったメロトロン(サンプリング)の音色…など1曲の中で、いくつもの表情を見せる見事な展開だ。
ZIGGYの「CRAWL」以降、頻繁に顔を出すDUCKのスカ志向は[5][14]で顔を出す。[5]は速いビートと間奏の70’sっぽいKEYがいい味を出しているし、[14]は、今までのDUCKのスカ路線の完成形といっていいだろう。「MTVのアンプラグドに出た時用に…」書かれたという[9]や、嫌でも印象に残るPOPなサビメロが光る[13]はメロディメーカーとしてのDUCKの力量を再確認させてくれる。
また[3]などで顕著なTUSKの不思議な語句を組み合わせる作詞センスも健在。[7]では久々にSKELTONがちょっとメタリックなリフを弾くなど他メンバーの自己主張もいい感じだ。
死霊の激愛 -Do or Die-

商品番号:COCA 14512
Release Date:1997.10.10
Produced by:VINCENT VEGA
最高位:69位
「ビートルズも、ジャンル的には何が何だかわからないじゃん。でも、実績があるから誰も何も言わない。「いろんなタイプがあって、とっ散らかってますね」というヤツはいねぇ。俺らはメタルバカでもなければ、パンクバカでもないしさ。今回のアルバムでも足りないくらいだもん」
DUCK-T 97年「ロッキンf」インタビューより
満を持してのメジャーデビュー作。この作品の前に、インディでミニアルバム「死霊の悪知恵」を出しているが、そこで聞けたパンク、ハードコア的サウンドを軸に、多種多様な音楽スタイルで聞く者を楽しませてくれる傑作だ。
96年秋からライヴハウスを回る地道な活動を続け、97年8月には下北沢クラブ251にて初のワンマンライブを敢行。そして、このメジャーデビューと、地道に着実なステップアップが図られた。「1年ほどLIVEをやって、ベーシックな部分が出来上がってからのデビューが理想的」とDUCK-Tは語っていたが、正に理想的展開になったわけだ。
メジャーでのリリースが決まったので、新曲を作りはじめたわけではなく、レコーディングを始める前にすでに収録曲の9割は出来あがっていたという。
冒頭3曲で飛ばしまくった後、シングルになったポップな[4]、ボサノバ調の[5]、初期のポリスを思わせるレゲェ的カッテイングが印象的な[6]、Dr.SKELTONがやるとは思えないテケテケサウンドが聞けるサーフ風の[7]と続き、ハードなサウンドに対応出来ない人でも引き込まれるメロディアスなサウンドを提示して、音楽的幅の広さをうかがわせてくれる。[11]のDUCKのベースプレイもいい。
やはり、聞き終わって思う事は、DUCKのメロディメーカーとしての非凡さだ。どんなにハードな曲を演奏しても、必ずと言っていいほど心に残るいいメロディがある。ボサノヴァの[5]、歌謡曲的マイナーメロディの[8][12]などはその典型だ。
個人的には、最初この作品はあまり馴染めなかった。しかし何度も聞いてると、だんだん引き込まれる。メロディの力の強さゆえなのだろう。

