ZIGGY
BLOND 007
もともと、いかがわしい屋台みたいな所から始めて、ちょっと不衛生だったりもしたけれど、やっとちょっと料理人としての自覚が出てきたんだね
森重樹一/1994年「PATI-PATI R&R」インタビューより
前作までのポップ路線に一区切りつけて、ロックへの回帰を図った作品。とりあえずハード路線を再び提示した事で安心したファンも多いだろう。当初は「BONDO 007」のタイトルで発売されるはずだったが、商標登録の関係でクレームがつき、戸城の発案によりこのタイトルに落ち着いた。
まず今回のアルバムは、今までのZIGGYの特徴であった「B級ロック」から「A級ロック」への脱皮を計ろうとしている部分が随所に感じられる。そのためかZIGGYのアルバムとしては珍しくテクニカルなギターソロや変拍子などが目立つ。そういったテクニカルな部分をサポートしたのは、確かなテクニックを持った謎のミュージシャン二人。謎のギタリストとしてクレジットされているBLACK ADVANCE FREEMANは横関敦。ドラマーのJIMMY F DRIVERなる人物は新見俊宏。彼らの参加なくしては、このサウンドはあり得なかっただろう。
[9]は、このアルバムを象徴する代表例で、今までの彼らのイメージをからすると本格派すぎて違和感を感じるかもしれない。そういったチャレンジは、必ずしもよいことばかりでなかったようで、半音下げや、Dチューニングの多用が災いして、LiveでPLAYできない曲が多かったという問題点も残した。なお、[4][12]は前作のアウトテイクで、当時作ったデモテープとほぼ同じだそうだ。(ボーカルは録り直したそうだが…)また、大ヒットシングルの[6]は、4人時代の頃作られた曲で、シングルカットを巡って一悶着あったと聞く。
前作とは別の意味で、新機軸を狙ったアルバムだが、全般的に戸城のキャラクターが突っ走りすぎ森重の色彩が弱いのが気になる。[11]にいたってはラップが登場し、作者の戸城もギターを弾くなどその最たるもの。戸城のアイデアを元に森重が手伝ったという印象すらある。過渡期の迷いの作品といえよう。
※この記事は過去に運営されていたファンサイトの記事を元に再構成させていただきました。