ZIGGY
CRAWL
基本姿勢は、なんら変ってない気がするけどね。
“自分ができることは、どんなものでもやってみよう”っていう。
森重樹一/1997年「ロッキンf」インタビューより
「ZOO&RUBY」とは全く正反対の意味での問題作。ファンに対する裏切りともとれる大胆なサウンドチェンジを2度も行ったバンドなんて日本では彼らぐらいのものだろう。
サウンドだけでなく、ビジュアル面でも大きな変化がありファンを驚かせた。前作の戸城に続き、今度は生涯長髪を貫くだろうと思われた森重が短髪になったのだ。近年のインタビューで、この時期森重は焦りがあった事を認めている。「自分のスタイルに固執することで時代と縁遠くなって、このまま俺って時代遅れのサエない奴になっちゃうのかなって…凄く恐怖感があった」(BURN 99年4月号より)そういった当時の森重の苦悩は、歌詞にも明確に現れており、ダークな色彩を持った詩が多い。[4]などはその代表例といってもよいだろう。
詩の面だけでなく、曲も皆が期待する王道のZIGGYスタイルは影を潜めている。かわって現れたのは90年代のグランジ、オルタネイティヴ系のサウンド。他にもロカビリー、スカ、レゲェなどの感触のあるナンバーが次々に現れ、それまでの「70年代洋楽を日本人的感性で味付けしたポップなR&R」というそれまでのZIGGY感からかけ離れたサウンドだった。
このアルバムで忘れてはならないのは、サウンドアレンジ&ギター参加の元ARBの白浜久。ギターも弾けて歌も歌える上に、昔から森重のフェィバリットミュージシャンであるが故に、曲のイメージを明確に伝えることが出来、スムーズな共同作業が行われたようだ。
このアルバム発表後のツアーでは、4人時代のヒット曲は1曲も演奏されず、新作中心の内容で、多くのファンから不評を買った。「ZOO&RUBY」のアルバム評にも書いたが、常に同じ位置に立ち止まらず、前進する彼らの姿勢…。これこそROCKなのだ。そういったバンドを評価せずに何を評価すればよいというのだ。個人的にはアルバムの内容よりも彼らの心意気に胸を打たれたアルバムである。
なお先行シングル[11]は別バージョン。この曲は、森重が会心の作として気にいっている作品である。
※この記事は過去に運営されていたファンサイトの記事を元に再構成させていただきました。


